里山保全活動支援

 当財団は、1999年(平成11年)から、里山保全活動を支援しています。

里地里山とは、原生的な自然と都市との中間に位置し、集落とそれを取り巻く二次林、それらと混在する農地、ため池、草原などで構成される地域で、従来は、農林業などに伴うさまざま人間の働きかけを通じて環境が形成・維持されてきました。また、絶滅危惧種の多くが、原生の自然地域よりも里地里山にいるといった状況にあり、生物多様性保全上(絶滅危惧種をはじめとする野生生物の保護上)重要な地域であることが明らかになっています。

しかしながら、適度な自然への働きかけが無くなると、自然はむしろ多様性を失い、雑木林は単調な薄暗い森へ、耕作放棄地等は荒地へと変化をしていくことが多くなりました。また、都市近郊ではこういった人が立ち寄らない場所への不法投棄等も発生し行政や地域住民の方々が頭も悩ませる事も増えてきました。

こういった状況下で、地域ボランティアが里山整備を自治体等と協働で実施するケースも増え、これら活動を応援するため、当財団も助成活動を継続して実施しています。

活動内容は地域・団体によって多種多様です。

 

   例えば小川町里山クラブ you-you~   

埼玉県小川町にある「小川町里山クラブyou-you(2017年度~2019年度助成先)」では、雑木林の整備のほか、使われなくなった畑に和紙の原料となる楮(こうぞ)を育てています。きっかけは、地域に移住されてこられたアメリカ出身の和紙を使う芸術家の方が、「せっかく和紙の町に居るのだから地域原産の材料による和紙が欲しい!」といった事から始まりました。その後、皆さんのご尽力により楮は順調に育ち、地域の文化の継承の一助となっています(2014年、小川町と隣接する東秩父村と共に伝承されている「細川紙」の技術が、「和紙・日本の手漉き和紙技術」として、ユネスコ無形文化遺産に認定)。

 

 

【楮の刈り取り作業】

 

~水沢森人 (もりんど)の会~ 

川崎市宮前区の「水沢森人(もりんど)の会(2019年度~2021年度助成先)」では、産業廃棄物の不法投棄も目立つ場所でであったもののボランティアの皆さんが地道な努力を続けた結果、活動から20年を経過した現在では、コンパクトなエリアながら、「竹炭用の炭焼き窯」「子供たちがまいたドングリから育てたクヌギやコナラの雑木林」「カルガモ・アオサギ・ツミ・モズ等々の鳥たち」「秋にはススキの穂がなびく」といった風景を取り戻してきました。メンバーの経歴の様々で、それぞれの得意分野を活かしながら活動を継続しています。また、シニア世代がメンバーの中心でありますが、近隣在住のファミリー層も活動に興味を持ち参加するケースもあり、世代を超えて里山保全活動が継承されつつあります。

【協力して作った竹炭用の炭焼き窯】

 

里山保全活動支援のご案内